独り相撲日本代表

取るに足らない戯れごと

園子温って初見では読めないよね

趣味の一つに映画鑑賞があります。姉の影響もあり中学生辺りから暇な時には映画を見ていた記憶が存在しており、いわゆるB級映画(突っ込みどころが多かったり起承転結が皆無、メッセージ性がないもの、非常にわかりにくいもの。例を挙げるならピンクとグレー、やパプリカなど)を見るのもひとつの楽しみでもあり、感動系、パニック系、恋愛系、色々なジャンルがあります。たくさんの作品を見てきた上で私が1番好きなのは「人間の怖さ」が見れる映画です。

 

 

何故かって言われたら難しいのですが

①「狂気じみた人間」の顔や行動を見るのが好きだから。具体的に言うと「狂ってる人」って感情をむき出しにするんですよ。自分にはできない、持っていないモノだから少し羨望の目で見てしまいます。

後みんな目がキラキラしてるからいい。狂った人に襲われている側の人間を見るのも好きです。普段は襲う側の人間が狂人に出会うことによって襲われる側になる。命乞いをする時の、相手から逃げ惑う時のみっともなさ、そんな人間臭さを見るのがとても大好きです。

 

②人間には少なからずとも闇を抱えており、ある日突然狂うこともありえるし、下手なホラー映画と違って現実味がある故に映画に入り込みやすい。

 

でしょうか。逆にアニメやファンタジーは現実味が無いのでいまいち頭に入ってこないですし、普通に面白い映画でも「これ続編もありそうな終わり方やな‥製作陣も味をしめてるのかな?しょーもないなあ」と余計なことばかり考えてしまいます。ちなみにドラマは週一回の放送っていうやり口がうざったいから見ません。まじで。昔友達に貸してもらった転生系の漫画とかほんとに面白くなかったのは秘密です。

 

 

さて本題に入りましょう。先日

園子温監督の冷たい熱帯魚という作品を鑑賞しました。内容としては冷め切った家庭である社本一家(父、母、娘)3人が父の同業者である村田という人物に家庭を無茶苦茶にされる、と言った話なんです。これが久々の当たり映画。

 

 

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3人の仲は冷め切ってるからそれぞれの心の拠り所となるのが村田だけ、始めこそ終始にこやかで人当たりの良い彼ですが徐々に本性を表してくるのです。。怪しげなビジネスに誘ったり高圧的に肉体関係を迫ってきたりするのですが今の生活に飽き飽きしている一家は簡単に村田の思うまま、人心掌握が完璧

3人が村田にハマっていくところだけでも中々見てて「うわ‥」ってなるんですけど何が1番やばいって村田と彼の妻、2人は鬼のような殺人鬼。証拠も残さないようにしっかり肉を一口サイズにして、骨と一緒に燃やして、その一部始終をしっかりと映像化してるんですよ、その時の2人の楽しそうな顔。。風呂場にて「解体現場」を見てしまった主人公に対して「へい、らっしゃい、」って、「骨を焼く時は醤油も一緒に」とか、いや料理人かいって少し思ったり。

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映画において「食事シーンは性行為のメタファーだ。」という言葉をよく聞きます。実際に性行為のシーンのように直接的な描写もありましたし食事のシーンで「あ、関係を持ったな」と思えるシーンもあったりそういう見方をしても面白いかなと思います。

 

村田の妻も妻で「獲物」に対して簡単に身体を売ります、行為中に息の根を止めるのです。「解体作業中」の村田と彼の妻との会話の中で、

村田「お前こいつと何発やったんだー?俺のよりも良かったかー笑」

「覚えてなーい笑」

 

みたいな会話とか聞いているだけで頭おかしくなりそうですよね。極め付けには「お前を殺すか生かすかも俺次第、ボデーを透明にしちゃえばいいんだ」というのです。脅されて主人公である父は次第に村田らの殺人行為に加担するようになっていきます。

 

鑑賞中、「村田の言うことも正論なところあるかもしれない。」と思えてきましたし、私自身も村田に洗脳されているのかも、と怖くなってしまいました。私的には引っ込み思案で臆病な社本が変わっていく姿に感動すら覚えました。そんな所も含めてこの映画は怖かったです。

 

 

「狂った村田一家に翻弄される社本一家、父はそれにどう立ち向かうのか」

 

全部言ってもつまらない(大分言ってしまった笑)のでここからあるどんでん返しもろもろを映画を通してぜひ感じてほしいです。

 

 

 

 

 

「ボデーを透明にしちゃえばいいんだ」

「どこでくたばってもらうか、それを決めるのは俺だ!」

それにしてもこれらのセリフ、いつか使ってみたいですね、

 

もしかしたら監督の園子温は自分が現実世界でできないことを映画内でしてるのではないか、そう思えるほど人の中にある悪い感情がむき出しの映画だと感じました。園子温に殺人や洗脳の欲望があるのか定かではありませんが、少なくとも映画の中でやりたいことはしているのでしょう。

 

その気持ちは多少なりとも私にもあるわけで、洗脳や殺人まで行かなくとも、自分が映画を撮るに当たればそのような過激なシーンを作り出して満足するのかもしれないと考えさせられた映画でした。