別に胸を張れるようなことではないのですが、人生で1番死なせてしまった生き物は「ホウネンエビ」と即答して言えるでしょう。
田んぼによくいるそれは、お腹を上にして泳ぐので知らない人が見てたら死んでいる、と思わず勘違いをするような独特のフォルムになっています。
その昔、このエビが田んぼにいるとその田んぼは豊作だった、という話から豊年エビと言う名前になったそう、
今回のエピソードは「ホウネンエビ」です。
家族でデパートへでかけた時のことです。子ども向けコーナーに、エビの飼育観察キットを見つけた私はこれをどうしても育てたいんだと親に頼んだのですが、これまで様々な生き物を死なせてきた私の事なのでダメだと断られました。そのエビの卵は一度乾燥してから生まれる、といった特徴を持っており、キットには乾燥卵に水を入れるとエビが生まれると書いていました。
聞き分けのいい私は一旦その場は諦め、家へ帰って私の愛読書であった生き物図鑑を暇さえあれば熟読し、その熱意に親は打たれるだろうという魂胆で過ごしていました。
しばらくしてからそれを見つけたのです。田んぼでよく見られる生き物だと書いていたので、すぐさま田んぼへ行くと、今までは気づかなかったのでしょう。山のようなホウネンエビがいたのです。まるでホウネンエビパーティーです。もうその日はエビのことしか頭にありません。
山のように捕まえ、次の日には学校へ持って行きました。当時メダカや蝶など飼育している人はいましたがホウネンエビはおらず、ホウネンエビを飼育している俺すごい、と得意げになった私は給食の時間におかずの磯辺揚げを水槽の中に入れ、見せびらかすようにかいがいしくそれらのお世話をしていましたのです。生き物を飼う序盤というのは自分がお兄さんお姉さんになった気分になるから、「養ってあげないとこいつはやっていけねえんだよ、俺なしじゃあこいつはダメなんだよ」といった気持ちで、みんなにお世話するところを見せびらかすのです。私はそんなガキ大嫌いなんですが昔はそうだったみたいです。
本来ホウネンエビは水質に敏感な生き物です。生活場所に油にまみれた磯辺揚げなぞ入ろうものなら致死案件でしょう。知らない私は嬉しそうに入れ、学校へ帰る頃には全部死なせていました。こいつら動かへんなあーみたいな、ちなみに水槽には磯辺揚げの油がこれでもかと浮いていました。同様に死体もこれでもかと浮いていました。
よく考えれば水槽の水もカルキがじゃんじゃん入っている水道水でした。無知ほど怖いものはありません。
ところで
磯辺揚げの緑の部分とホウネンエビって似ていると思いませんか?私はいまだに磯辺揚げを見ると飼っていたホウネンエビのことを思い出します。そしてそのリベンジとして飼育キットを買おうか悩んでいます。
「幸福を運ぶ幻の宝エビ」と書いてあるのできっと幸せを運んでくれるのでしょう。大学生になった今でもこう言うのを見るとワクワクします。「幻の宝エビ」一緒に遊んでくれる人を大募集中です。誰か私と一緒に幸福を運びませんか?
少し怪しい宗教みたいですね。
それではまた。